あの日あの場所にいたけれど、まだアイカツ!を知らないあなたへ

 

 

アイカツ!を履修する予定があり、少しでもアイカツ!のネタバレを避けたいという方は読まないことをおすすめします。

 

 

 

 

 

2019/10/19~20の2日間、私は東京ドームで行われた、バンダイナムコフェスティバルというライブに行った。

 

バンダイナムコフェスティバル(以下:バンナムフェス)は、その名のとおり、バンダイナムコにゆかりのある作品のライブイベントである。

私はアイドルマスターのオタクだ。

 

いつもは好きなアイマス作品のワンマンライブに行くのだが、今回は複数のアイドルマスターシリーズが越境、しかも天海春香さんと天ヶ瀬冬馬くんの二人が「東京ドーム」という同じステージに立つというライブだった。これは生で見届けねばと思った次第である。

バンナムフェスはアイドルマスター以外の作品も感じることができ、とても楽しかった。こういったライブは新しい作品との出会いがあってすごくいい。2日目に絞って書くのだが、ワンダーモモラブライブ!サンシャイン!!・アイカツ!シリーズ・アイドルマスターシリーズ(ゼノグラシア含)というラインナップで、ここ数年行ったライブの中で本当に本当に本当に行ってよかった最高のライブだった。


ライブの余韻が何日経っても抜けず、楽曲を浴びたアイドル作品で、まだ触れていないものを見ようと思った。最初に見たのは、ライブラブライブ!サンシャイン!!(全25話)である。青春部活もので大変良かった。何回か泣いた。ダイヤちゃんよしこちゃんが好きです。

 

次にアイカツ!を見ようと思った。アイカツ!は、信頼できるフォロワー達が揃って「「アイカツ!は良い」」と言っていたので、前々から見たい気持ちはあった。しかし、なにせ全178話である。長い。2クールのアニメを5周しても終わらない。しかし、バンナムフェスはあまりにも素晴らしかった。私は見るなら今しかねえ!とアイカツ!視聴を決めたのである。

 

もう一つのきっかけがある。このライブを2日間、連番してくれたフォロワーである。

アイカツ!をすでに履修済みであるこのフォロワーは、私に事前知識としてアイカツ!の諸々を教えてくれた。とても頼もしかったそのフォロワーが、ライブ中「輝きのエチュード」という曲名を聞いた瞬間、膝から崩れ落ち大号泣したのである。なんか2番くらいまでずっと泣いてた気がする。ちょっとびっくりした。フォロワーを横目で見ながら、私はただただ輝きのエチュードという曲を聞いていた。数々のライブで崩れ落ちるオタクを見てきたが、これはなかなか印象的だった。このフォロワーの境地までたどり着けるかはわからんが、全178話、絶対見てやるぜ!!となったのであった。

 

 

初代アイカツ!の概要 

今更だが、私がここでアイカツ!と指すのは初代アイカツ!(全178話)のことである。

私も実際見るまでわからなかったので知られていないかもしれないが、アイカツ!は途中で主人公が変わる。ざっくりとしたあらすじでいえば、アイドル学校「スターライト学園」に通いながら、アイドル活動を行う女の子たちの話である。4シーズンに分けられ、1〜2シーズンは星宮いちご編、3〜4シーズンは大空あかり編となる。

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トップアイドルの神崎美月さんに憧れ、アイカツ!(アイドル活動)を始める星宮いちご話数が進みアイドルらしくなっていく星宮いちごの成長に感動していると、その星宮いちごに憧れアイドルを目指す大空あかりが登場する。あのいちごちゃんが、誰かにとってのアイドルになっているなんて、と感極まって泣く。正直、信じられないくらいアイカツ!で泣いた。後述するが、アイカツ!はこの憧れや夢の継承、バトンの受け渡しが本当に素晴らしい作品であると思う。

話数のあるアイカツ!だが、個人的には1話からなかなかの衝撃を受けた。私の思い込みもあるが、てっきり主人公(星宮いちご)はアイドルが好きな子だと思っていた。しかし星宮いちごは、アイドルに全く興味がない。弟や親友の熱心なアイドルオタク姿を見て「ふ~ん、アイドルってそんなにいいんだ。」なのである。アイカツ!はそこからのスタートなのである。アイドルに心を奪われるところから、その描写からアイカツ!は始まる。アイドルやアイドル活動に疎い星宮いちごとともに、私たちもアイカツ!について学んでいく。

 

アイカツ!らしいエピソードとして、6話・「サインに夢中!」を紹介したい。

自分のサインを作ることになった星宮いちごと親友の霧矢あおい。二人は自分で考えたサインを担任のジョニー先生に提出するが、星宮いちごだけ「BADなサインだ!」と言われてしまう。なぜなら星宮いちごのサインはめちゃくちゃ書き込みがすごい時間のかかるサインだったのだ。

星宮いちごのサイン(模写)。偽サインをオークションに出品しようものならかなり苦しむだろう(その前に出すな)f:id:iitaikotowo-kakuyo:20200219165346j:plain

一緒にサインを提出した霧矢あおいはいちごに聞く。 

「作りなおすの?」「ううん、変えない!」

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「特訓します!」

一体どういうことなのか。星宮いちごは、「サインを考え直す」という選択はせず、「自分が早く書けるようになる」という選択をするのだ。私は衝撃を受けた。普通なら納得できるサインが書けるまで試行錯誤してがんばる、サインができる!やったー!このようなサイン回だと予想する。しかし、アイカツ!のサイン回は違った。サインを変えずに自分が変わるのだ。この後、星宮いちごは全身にバネをつけてサインを書きまくるなどの特訓を行い、身体にサインを覚えさせる。そしてあのサインを10秒で書けるまで自分を鍛え上げるのだ。しかしアイカツ!はそれで終わらない。さらにその後、いちごは大切なことを学ぶのだ。

 

アイカツ!をすすめるオタクたちがアイカツは哲学」「アイカツは人生を学べる」と言っているのを見たり聞いたりしたことはないだろうか(私はある)。実際にアイカツ!を見て、オタクの誇張表現ではないことを感じた。アイカツ!には本当に哲学があり、学ぶことが多い。アイカツ!はアイドルのアニメだが、どちらかというとスポ根のような少年漫画のような熱さがある。(神崎美月と星宮いちごはエースをねらえのお蝶夫人岡ひろみの関係性に影響を受けたとwikiアイカツ!項目に書いてあるので興味がある方見てください)何よりアイカツ!には悪い大人が全く出てこない。1話だけ登場したパパラッチが思い当たるくらいだが、そいつも全然ワルには程遠い。そんなまっすぐな世界で、アイカツ!のキャラクター達はまっすぐに常に自分と闘っている。自分に勝つ、I(アイ)勝つ(カツ)なのだ。先にも述べたが、アイカツ!を見るとめちゃくちゃ泣く。しかしそれは決して悲しい涙ではない。アイカツ!をしているキャラクター達のまっすぐな姿に心を揺さぶられるのだ。圧倒的な陽のパワーを持ち、かつ王道に見せかけたトリッキーなストーリー展開もある。純粋に面白い。

 

アイカツ!には様々なアイドルが登場する。二人の主人公、星宮いちごと大空あかりにも大きな違いがあるので知ってほしい。前述したエピソードのとおり、星宮いちごは突飛な発想や行動力をもつ「天才型」、かたや大空あかりは歌もダンスも人並み以下という「努力型」として描写がされる。この対照的な二人だが、アニメで描写される対比は全くいやらしくない。いちごに憧れてアイドルになるあかりに対し、いちごは「時間かかってもいい、よじ登っておいで。わたし、てっぺんで待ってるから。」とやさしく語るのだ。そしていちごも、かつては憧れの神崎美月さんに何度も導かれてアイドル活動をしてきた。アイカツ!の精神は受け継がれていくのである。ぜひ最後まで見届けてほしい。

 

 

アイカツ!の曲 

アイカツ!が素晴らしいのは、ストーリーやキャラクターだけではない。曲もめちゃくちゃ良いのだ。ていうかアイカツ!の曲はマジで全部良い。まずはこちらのOPを見てほしい。


【アイカツ!】OP KIRA☆Power

シンプルに良い。ストーリーが始まるワクワク感、様々なキャラクターたちが生き生きとしている。何より「かっな〜えましょ〜お〜♪」がキャッチーでとても良い。ちょっとダブステップもしててアガる。天才。OPとしてあまりにも完璧すぎる。このKIRA☆Powerという曲は第2シーズンのOPである。だいたい2クールでOPとEDが変わるので7セットOPとEDがあるのだが、どれも本当に良い。178話もあるのになかなかOP飛ばせなくて困ったほどだ。というかほとんどOPとED飛ばさずに見た自信がある。SHINING LINE*という曲がOPだった期間はいちご編あかり編が入り乱れてめちゃくちゃ泣いたので個人的に思い入れがある。SHINING LINE*マジでいいですよ…


【アイカツ!】ED カレンダーガール

こちらもぜひ見ていただきたい。このカレンダーガールという曲は1話からのED曲なのでアイカツ!を見始めるとすぐに出会うことができる。この曲はアイカツ!にとって重要な曲となっているため、EDが変わっても度々聞く機会がある。歌詞を紹介したい。サビ部分で「なんてコトない毎日が かけがえないの」とあるのだが、ここまではよく見かけるフレーズだ。うんうん、そうだよね。しかしその後に「オトナはそう言うけれど いまいちピンとこないよ」と続くのだ。私は衝撃を受けた。この歌詞こう続くのか…すごい。皆さんも学生時代に覚えがないだろうか。学生の時はあっという間だよ、今のうちだよ、なんて大人達から言われた経験があるはずだ。今学生の皆さんは、大人達に言われたことはないだろうか。そして確かに、そうかもな〜くらいでピンとこないのではないだろうか。カレンダーガールの歌詞は、彼女たちの「今」なのだ。アイカツ!をしている彼女達の等身大の曲なのだ。歌詞はその後さらに「カレンダーめくって今日も私らしくアレ 前向きに 視界良好 おはようみんな」と続く。この「今」を彼女たちなりに送っているという哲学を持っている時点で、アイドルの曲としてはかなり信頼できる。そしてカレンダーガールはベースがめちゃくちゃかっこいい。ファンキーな曲調なのがまたいい。とにかくアイカツ!の曲は良い。

 

アイカツ!はアイドルのアニメなのでもちろん毎話ライブシーンがあり、キャラクターごとの楽曲もあるのでなかなか曲数がある。しかし何度も言うがアイカツ!の曲は全部良い。妹にアイカツ!の曲を聞かせるとBEMANI感すごいと言われた。バンダイナムコなのだが。でも言いたいことはなんとなくわかる。ビートマニアポップンミュージックを嗜んだことがある方はふんわり想像できるのではなかろうか。ポップかつおしゃれな曲が多い。57話・ゆるキャ蘭ウェイ!のライブで聞くtrap of loveという曲はオシャレの中にもどこか切なさがあるシティポップで、ライブシーンも相まってめちゃくちゃ刺さった。あまりにも良すぎて何週間か無限リピートしていた。同じ系統だとオトナモードも良い。Take Me Higherもめちゃくちゃかっこいいし、ハートのメロディオーロラプリンセスはかわいくて切ないキュンとする曲である。Good morning my dreamは朝のアラームにしている。トリッキーな楽曲もある。かの有名なKira・Pata・Shiningだ。実はフォロワーに教えてもらい私が初めてアイカツ!で聞いた曲がこれである。本当に女児アニメの曲か?という第一印象であった。メロディーがいったりきたりの単調でサビはただただ半音ずつ下がっていく。気持ち悪くて気持ちいい。ライブのシーンが完全に幻覚っぽいキマってる映像なのでぜひ本編で見てほしい。そらちゃんのエピソードもとてもいい。

フォロワーから教えてもらったのだが、アイカツ!のオタクはよくクラブイベントを開いていたらしい。わかるな〜!しかもオタクがしょっちゅう開くからか、公式でのクラブイベントも行われたらしい。うんうん、それもまたアイカツだね。良い楽曲、楽しい楽曲が多いアニメは、曲を聞けば日常生活にバフをかけてくれるからとても良いと思う。

 

 

アイカツ!を見終わって 

アイカツ!を見終わってから感じたことを書きたい。本編の内容と関係のないところで、まずは178話を完走したという成功体験を手に入れる。これは手に入れてから気付くが、意外とでかい。私はやる!と決めたことをやり遂げた。これは私のアイカツ!である。アイカツ!を完走することによってアイカツ!をしていたことに気づくのだ。

さらにアイカツ!に気づかされたことがある。夢に向かって走るキャラクター達とは違い、私には特に夢などない。しかし、それでいいのだ。大切なのは、自分で決めたことに向かってまっすぐ走っていくことだ。日々の小さいことでもいい、趣味でも仕事でもいい。10分早く起きる。この仕事は絶対定時までに終わらせる。今回のイベントは2500位に絶対入る。自分で決めて自分のためにまっすぐに走るのだ。シンプルだが本当に大切なことに気付かせられたと思う。

あとオタクとしてのレベルも上がった気がする。アニメへのフットワークがとても軽くなったので、色々な作品に気軽に手を伸ばせる。2クールを5周しても終わりにたどり着かないそれ以上の話数を見終わったのだ。2クールなんて体感3秒である(これはオタクの誇張表現です)。バンナムフェスへ参戦し私と同じタイミングでアイカツ!を走っていたフォロワーがいたので、よく感想を語り合った。そのフォロワーとアイカツ!はたしかに見終わるのにすごく時間がかかる。でもとてもいいものを知れた、いいものを見たなあという気持ちが本当に大きい。ということを話した。同じタイミングで同じような感想でアイカツ!を走りきった人がいて嬉しかったし、やはりアイカツ!から色々なものを感じる、ということは決して大げさなことではないのだと実感した。アイカツ!を見るコツとして伝えたいことがある。真剣に見ることである。


*****


さて、はじめに戻るが輝きのエチュードという曲の話をしたい。

輝きのエチュードという曲は、「劇場版アイカツ!」1作目に登場する曲である。劇場版アイカツ!は、本編112話の後という時系列設定なので、本編を見る方はぜひ劇場版も見てほしい。本当マジで見てほしい。絶対見たほうがいい。輝きのエチュードは、恋の曲なのだ。輝きのエチュードという曲が、星宮いちごにとって、アイカツ!にとってどれだけ大切な曲なのかを私は知ることができた。フォロワーが隣で崩れ落ちたのもめちゃくちゃ納得できる。なんなら私だってアイカツ!履修してあの曲聞いていたら絶対にヤバかったと思う。フォロワー、わかるよ。2日間一緒にライブみてくれて、アイカツ!教えてくれてありがとう。


私はアイドルマスターのオタクで、天海春香さんと天ヶ瀬冬馬くんが東京ドームに立つ瞬間を見たい、という目的でバンナムフェスへ赴いたが、アイマスのオタクからするそれと同じくらい、東京ドームで聞く輝きのエチュードはすごいものだったのだと後から理解した。

 

私のようにその時はわからなかった人も、あの場にいたという「事実」がある。ライブというものはその場その時の一瞬で、後から鮮明には思い出せない。しかし、私にはあの日あの時、生であの曲を聞いたんだという「事実」がある。この事実が、この先ずっと生きていく私を元気にしてくれる。これからの心の支えになる。ライブを現地で見る素晴らしさは、その日その時を実際に感じることの他に、この「事実」を手に入れることも大きいと思う。

 

2019年バンナムフェスの円盤化が決まった。アイカツ!を知った後にまたあのライブを見ることができると思うと、とても楽しみでならない。私は、アイカツ!に出会えて本当によかった。アイカツ!をたくさんの人に見てほしい。そう思ってこれを書いた。そして書くタイミングも今しかないと思ったのだ。私には、特にアイカツ!を見てほしい人たちがいる。

 

あの日、バンナムフェス2日目の東京ドームで、輝きのエチュードを聞いたけど、アイカツ!をまだ知らないあなたへ。よかったらアイカツ!を見てください。

 

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